新しく購入した冷蔵庫から「ブーン」「カタカタ」といった音が聞こえると、不良品ではないかと不安になる方も多いのではないでしょうか。
特に設置直後や運転開始後に異音がする場合、正常な現象なのか、それとも放置すべきでないトラブルの兆候なのか、判断に迷うことがあります。
そこで本記事では、「新しい冷蔵庫から異音がする」場合の代表的な原因と、放置してはいけないサイン、さらに自分でできる対処法からサポートの活用方法まで、初心者にもわかりやすく丁寧に解説していきます。
購入したばかりの冷蔵庫に不安を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
1. 新しい冷蔵庫がうるさいのは正常?まずは基本を確認
運転初期は音が大きくなることがある
新しい冷蔵庫を購入し、設置直後から「ブーン」「ウィーン」といった音が気になった経験がある方も多いのではないでしょうか。実は、これはごく自然な現象であり、初期運転の段階では冷蔵庫内部の温度を急速に冷やす必要があるため、コンプレッサーやファンが通常よりも強く動作することがあります。
特に冷蔵庫内が空である場合や、常温の食品を一度に多く収納した際は、急激に温度を下げる必要があり、その分モーター音や冷却音が大きくなる傾向があります。これらの音は、設置から24時間〜72時間ほどで次第に落ち着くのが一般的です。
たとえば筆者が使用している某国内メーカーの冷蔵庫も、設置初日は常に「ウィーン」という音が鳴っていましたが、2日目には明らかに静かになりました。したがって、初期段階での運転音に過敏になりすぎず、少し様子を見ることも大切です。
設置直後は庫内温度安定まで時間がかかる
冷蔵庫は設置した直後から庫内温度が安定するまでにある程度の時間がかかります。これは庫内のセンサーや冷却ユニットが稼働状況を把握し、最適な運転モードに切り替わるまでの過程が必要なためです。
特に、夏場や湿度が高い環境では、周囲の熱気も加わり、冷蔵庫が常にフル稼働してしまうこともあります。音が気になる場合は、冷蔵庫周辺の温度環境も見直してみるとよいでしょう。
また、設置時にはしっかりと水平を保っておく必要があります。わずかな傾きが原因で冷却液がうまく循環せず、無理にコンプレッサーが作動してしまい、結果として異常に大きな音を発するケースもあるためです。
省エネモデルほどコンプレッサー音が目立つ傾向も
最近の冷蔵庫は「インバーター制御」と呼ばれる省エネ技術が採用されており、状況に応じてモーターの動作を細かく制御しています。これにより、音が一定ではなく「強弱のある動作音」として聞こえることがあります。
たとえば、従来の冷蔵庫では一気に冷やして停止、また冷やして停止というサイクルでしたが、インバータータイプは常に微弱に運転しながら庫内温度を安定させます。この際、動作の切り替えで「カタカタ」や「ブーン」といった音が聞こえることがありますが、これは故障ではありません。
ただし、音が常に同じ強さで続いたり、断続的に大きくなったりする場合は、別の原因を疑う必要があります。そのため、冷蔵庫の仕様書や説明書を確認し、自宅のモデルに搭載されている機能を把握することも大切です。
このように、新しい冷蔵庫の音が気になる場合でも、まずは「正常動作である可能性」を前提に確認を進めることで、過剰な不安を感じずにすみます。
では次に、冷蔵庫から聞こえる音の種類別に原因を詳しく見ていきましょう。
2. 冷蔵庫から聞こえる異音の種類と原因
ブーン・ウィーン音はコンプレッサーやファンが原因
「ブーン」「ウィーン」といった連続音は、多くの場合、コンプレッサーや冷却ファンが作動している音です。冷蔵庫は庫内の温度を保つために、断続的にこれらの装置を動かしています。
特に夜間や静かな時間帯になると、この音が気になりやすくなりますが、これは機械が正常に冷却している証でもあります。たとえば、日中は生活音に紛れて気づかなかったものが、就寝時になると突然気になるようになるというケースが多く見られます。
ただし、音が異常に大きい、もしくは以前よりも音量が上がったと感じる場合は、ファンにホコリが溜まっていたり、何かが干渉している可能性もあるため注意が必要です。
カタカタ・ガタガタ音は設置面のゆがみの可能性
冷蔵庫から「カタカタ」「ガタガタ」といった振動音が聞こえる場合、設置場所の床が水平でない可能性があります。わずかな傾斜でも、コンプレッサー作動時の振動が本体全体に響き、音となって現れます。
たとえばフローリングの上に直接置いている場合、下に敷いたマットや家具の隙間が影響し、冷蔵庫の脚がしっかりと床に接地していないことがあります。実際に水平器を使ってみると、微妙な傾きが見つかることも珍しくありません。
このような場合は、冷蔵庫の脚を調整するか、転倒防止マットや厚手の板などで安定させると改善することが多いです。
パキッ・ミシッ音は温度変化による膨張収縮音
「パキッ」「ミシッ」という乾いた音が断続的に聞こえる場合、それは冷蔵庫内部や外装のプラスチック部品が温度変化により膨張・収縮する際に出る音です。
たとえば庫内が急激に冷却されたとき、温度差が大きい箇所で素材の膨張率が異なり、部品同士がわずかにずれることがあります。このときに摩擦音のようなものが発生しますが、これは故障ではありません。
実際に、筆者が使用している冷蔵庫でも、深夜になると「パキッ」という音が1〜2時間に1度程度の頻度で鳴りますが、冷却性能に影響はなく、メーカーも「正常音」と説明しています。
ただし、このような音が明らかに異常な頻度で繰り返されたり、音と同時に冷却性能の低下が見られる場合は、点検を依頼することをおすすめします。
それでは次に、こうした異音を放置してはいけないケースについて、注意すべきサインを解説していきましょう。
3. 異音を放置してはいけないサインとは?
異音が長時間・断続的に続く場合は注意
通常の運転音であれば、ある程度の時間が経過すると落ち着いてくるものですが、もし異音が数時間以上にわたり続く、あるいは昼夜問わず断続的に鳴り続けるような場合は注意が必要です。
たとえば「ウィーン」という音が1時間以上絶えず続いていたり、「カタカタ」「ガタガタ」といった振動音が何度も鳴り止まずに発生している場合、それは冷却システムやモーター部分に何らかの負荷がかかっている可能性があります。
このような状態を放置しておくと、コンプレッサーの劣化が進んだり、部品の破損につながることもあるため、なるべく早い段階で対応することが重要です。
冷却性能が落ちているときは要点検
異音とあわせて「冷蔵庫の冷えが悪い」と感じたら、それは放置してはいけないサインのひとつです。冷却機能に不調がある場合、食品の保存にも影響が出てくるため早急な対応が求められます。
たとえば「飲み物がぬるい」「製氷に時間がかかる」「庫内の温度が高めに感じる」など、普段と異なる冷え方をしている場合は、ファンや冷却装置に問題が生じていることがあります。
この場合は、異音の発生源と合わせて、冷蔵庫の設定温度や周囲環境、開閉頻度なども確認し、それでも改善しない場合は修理依頼を検討すべきです。
焦げ臭い・異常振動を伴う場合はすぐに電源オフ
もし異音に加えて「焦げたようなにおい」や「異常な振動・揺れ」を感じた場合は、非常に危険な兆候です。内部配線のショートやモーター異常、電装基板のトラブルが疑われます。
このような症状が出たときは、すぐに冷蔵庫の電源を切り、コンセントを抜いたうえで、メーカーや販売店に連絡しましょう。放置することで火災リスクにつながる可能性もあるため、自己判断で使い続けることは避けるべきです。
また、日常的に焦げ臭さを感じるような場合は、コンセントやプラグ部分のホコリ・湿気などもチェックしましょう。プラグ付近でのトラッキング現象も火災の原因となり得るため、こまめな清掃が重要です。
では次に、こうした異音の発生を予防・軽減するために、自分でできる見直しポイントと対策を紹介します。
4. 自分でできる異音対策と設置見直しポイント
冷蔵庫の水平を確認し、転倒防止マットで調整
冷蔵庫を設置する際に最も見落とされがちなのが「水平の確保」です。床が傾いていたり、冷蔵庫の脚が均等に接地していないと、運転時の振動が増幅されて異音の原因になります。
たとえば、マンションのフローリングなどは目に見えないレベルでわずかな傾きがあることがあり、冷蔵庫の重みで床材がわずかに沈むこともあります。この結果、コンプレッサー作動時に「ゴトゴト」といった振動音が発生するケースがあります。
このような場合は、転倒防止マットを使って4つの脚のバランスをとったり、水平器を用いて微調整することで、驚くほど音が静かになることもあります。
壁との距離を適切に保つ(最低5cm以上)
冷蔵庫は背面および側面に放熱機能を備えているため、壁や家具との距離が近すぎると、放熱が妨げられて負荷がかかり、異音や過剰な運転の原因になります。
取扱説明書でも「背面は5cm以上」「側面は2〜3cm以上」などの距離が推奨されていることが多いです。たとえば、冷蔵庫の上にトースターや電子レンジを置くと熱がこもりやすくなり、冷蔵庫内部の温度が上がってコンプレッサーの稼働時間が長くなることがあります。
この状態が続くと、ブーンという音が頻繁に聞こえたり、ファンが常に回っているような状態になりやすいため、壁・天井・周囲の機器との距離をしっかり確保しましょう。
庫内の収納バランスも見直してみる
冷蔵庫内部に物を詰め込みすぎると、冷気の循環が妨げられて冷却効率が下がり、コンプレッサーの稼働時間が長くなることがあります。また、ファンの近くにビニール袋やプラスチック容器などが接触していると、運転時に「カタカタ」「パタパタ」と音を立てることがあります。
たとえば冷蔵室の奥側にレタスの入った袋を押し込みすぎた結果、ファンの吸気口に接触して異音が発生していたという事例もあります。こうしたケースでは、単に物の配置を見直すだけで音が解消されることもあります。
よって、定期的に庫内の整理整頓を行い、冷気の流れを妨げない配置を意識することが異音対策にもつながります。
それでは最後に、これらの対策を行っても改善しない場合に、どのようにサポートを活用すべきかを解説していきましょう。
5. 解決しないときは?修理・サポートの活用方法
メーカー保証期間内なら無償修理の対象に
新しい冷蔵庫の異音がどうしても解消しない場合、まず確認すべきは「メーカー保証の期間内かどうか」です。多くの国内メーカーでは1年間の無償保証が付帯しており、製品の不具合による修理は無料で対応してもらえるケースがほとんどです。
たとえば設置直後から常に異音がする、冷却性能に問題があるといった場合は、初期不良や部品不具合の可能性があるため、保証書や購入証明を手元に用意した上でカスタマーサポートへ連絡しましょう。
購入店舗に相談すると交換対応されるケースも
異音の内容によっては、購入店舗での交換対応をしてもらえる場合もあります。特に量販店やECサイトでの購入で「初期不良期間(概ね1週間〜10日)」内であれば、メーカー経由での修理ではなく、本体交換という対応になることもあります。
たとえば「ヨドバシカメラ」や「ビックカメラ」などでは、店頭での相談に加え、オンライン購入でもカスタマーサポートが充実しており、症状を伝えることでスムーズな対応が受けられる場合があります。
修理前に動画や録音で症状を記録しておくと便利
異音というのは時間帯や運転状態によって発生したりしなかったりするため、サポートに連絡する前にスマートフォンなどで異音の動画・録音を残しておくと、状況説明が非常にスムーズになります。
たとえば、冷蔵庫の裏側から「ガタガタ」という音が断続的に発生していた場合、録音データを送ることで技術者側で故障箇所の特定がしやすくなることがあります。
また、問い合わせの際には「購入日」「型番」「異音の発生タイミング(昼・夜・冷蔵室側か冷凍室側か)」などをまとめて伝えると、対応の精度とスピードが高まります。
まとめ
新しい冷蔵庫から異音がするという現象は、設置直後によくある一時的なものから、注意すべき重大なサインまで幅広く存在します。
今回ご紹介したように、「初期運転の音」「冷蔵庫の設置状態」「庫内の詰め込み方」など、まずは自分でできる範囲のチェックと対策を試してみることが大切です。
しかし、異音が長時間続いたり、冷却がうまくいかない、焦げ臭いなどの異常が見られる場合には、速やかに電源を切ってメーカーや販売店へ相談しましょう。
正しい判断と迅速な対応を行うことで、大切な家電を長く安心して使うことができます。
ちなみに、冷蔵庫の上に電子レンジや重いものを置いていると振動音が増えることがあります。設置スペースの工夫も快適な家電生活のポイントと言えるでしょう。